【ネタバレ有】思い出のマーニーがもう一度見たくなる!独自解説&考察!

ジブリ
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はじめに

こんにちは!映画大好きたぁくんです!

今回は、スタジオジブリ作品「思い出のマーニー」について独自解説していきます。
読んでいただいた後、もう一度作品を見直したくなるような内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

この先、ネタバレ要素を含むので、これから鑑賞を予定している方はご注意ください。

それでは、本作品のあらすじをご紹介したうえで、いくつかの項目に分けて解説していきます。

考察の内容は、個人的な解釈に基づいていますので、あくまで素人の意見としてお楽しみいただけると幸いです。

あらすじ(ネタバレ注意)

あらすじ① 田舎での療養、生活

札幌に住む中学生の佐々木杏奈は、美術の授業の一環で公園にスケッチをしに来ていた。先生と近い距離で仲良さそうに話す同級生を、「自分とは違う」人間と感じつつスケッチに励んでいると、先生に自分の絵を見せるように言われる。杏奈は自分の絵に興味を持ってくれたことが嬉しかったものの、下手だからと恥ずかしがり見せなかった。教師とそんなやり取りをしていると、公園で遊んでいた小さな子どもが怪我をし、泣き始めたため、杏奈の絵を見たがっていた先生も、その子どもの様子を見に行ってしまった。嫉妬のような感情を抱いた自分に対しての嫌悪感を抱いた杏奈は持病の喘息の発作とともに倒れこんでしまった。学校を早退した杏奈は、自宅で医者からの診察を受けていた。幼くして両親を亡くした杏奈の里親である頼子は、杏奈の体調を杏奈以上に心配していたが、杏奈は自分の体調以外に悩みがあるようだった。頼子は杏奈の体調と、杏奈の学校生活がうまくいっていないことを案じ、医者から勧められた遠方地での療養を杏奈に提案する。杏奈はおせっかいな頼子に嫌気がさしながらも、夏休みの間だけ頼子の叔父叔母である清正とセツが住む田舎に向かうことにした。

田舎町についた杏奈を清正とセツは温かく迎えた。清正とセツの家に向かう途中、古びた屋敷を見つける。清正によると地元の人は、その屋敷を「湿っ地屋敷」と呼んでいて、長らく使われていない空き家だと話す。杏奈はなぜかその「湿っ地屋敷」を知っているような気がして、夢の中にも出てくるようになった。空き家と言われていた「湿っ地屋敷」だったが、夢の中では誰かが住んでいるらしく、金髪の少女が老婆に髪を梳かれている姿も見かけた。杏奈は屋敷と金髪の少女に惹かれ、度々湿地へスケッチに行くのであった。そんな毎日を過ごすある日、杏奈はセツと一緒に近所の家におつかいに行くことになった。おつかい先の家は杏奈の一つ年上の信子の家だった。信子の母とセツが玄関で話していると、ふと信子の母が七夕祭りに信子と一緒に行くことを提案する。杏奈は全く気が進まなかったが、セツが乗り気だったため、断れなかった。

あらすじ② マーニーとの出会い

七夕祭り当日、杏奈は信子とその友達と一緒に祭りの会場である神社に向かっていた。神社では、短冊が配られており、願い事を書いて笹に飾れるようになっていた。杏奈も願い事を書き笹に飾ろうとしたが、信子に呼び止められる。信子に話すうちに、突然杏奈の中に重たい気持ちが湧き始め、信子に「ふとっちょぶた」という言葉をぶつけ、その場から逃げ出してしまう。湿地まで走った杏奈は火のついたロウソクが乗っているボートを見つける。何かが自分を呼んでいる気がした杏奈は、そのボートに乗り「湿っ地屋敷」を目指すことにした。「湿っ地屋敷」が近づくと夢で見た金髪の少女が屋敷から現れた。金髪の少女はなぜか杏奈のことをずっと前から知っていると話し、杏奈との関係を大事にしたい、ずっと秘密にしておいてほしいと言った。杏奈はそれを受け入れ、その日は少女を別れた。家に帰ると信子の母親がセツに杏奈に対しての文句を言っていた。信子の母親が帰った後、杏奈は家に入り、セツと清正に優しく励まされるのであった。

杏奈は、少女のことが忘れられず、潮が満ちる夕方に再び湿地に行った。湿地に着くとそのことを知っていたかのように少女もボートに乗って杏奈を迎えに来た。少女は杏奈に入江の奥にピクニックに行くことを提案する。少女は自分の名前をマーニーと明かした。マーニーと杏奈はお互いのことを知るために質問をしあうことにした。その後、マーニーは屋敷で行われるパーティーに杏奈も参加することを提案する。乗り気ではなかった杏奈だが、マーニーは、ばあやのショールを杏奈に着せて花売り娘としてパーティーに参列させた。自分の身分とは全く違う煌びやかなパーティーに戸惑い、その雰囲気とマッチしたマーニーの姿を見て嫉妬の念を抱いた。杏奈は気づくと屋敷の外の机で寝ていた。パーティーの会場で手渡された飲み物がお酒だったのだ。そこにマーニーがやってきたが杏奈は複雑な気持ちで素直にマーニーと話すことができない。そんな杏奈の気持ちを察したのか、マーニーは杏奈とダンスをしようと言う。ダンスをした事の無い杏奈は嫌がったが、マーニーがリードをし2人はダンスを楽しんだ。その夜中、郵便局の近くを通りがかった住民が地べたで横になった杏奈を見つけ、セツと清正の家に送り届けられたのであった。

あらすじ③ 秘密の交換

徐々に清正とセツとの生活になじんできた杏奈。セツから頼子の話を聞いたり穏やかな時間を過ごしていたが、ふとマーニーのことを忘れてかけていたことに気づく。急いで屋敷に行くが、マーニーに会うことはできなかった。マーニーが会えなくなって1週間後、杏奈は、以前、湿地で絵を描くのを見かけた女性、久子と知り合う。久子はマーニーのことを知っているらしく、屋敷が好きだと話す。杏奈は、久子から屋敷にもうすぐ人が引っ越してくることを伝えられる。杏奈が屋敷の近くに向かうと改装工事が進められていた。工事が進む屋敷の様子を呆然と見ていると、マーニーが顔を出していた部屋の窓が開き、幼い女の子が杏奈のことを呼び止めた。女の子の名前は彩香と言い、東京から引っ越してくると言う。彩香が杏奈を呼び止めたのは、彩香が部屋でマーニーの日記を見つけ、屋敷の様子をよく見に来る杏奈のことをマーニーだと思ったからだった。杏奈はマーニーの日記を読み、マーニーは杏奈自身が作り上げた想像の友だちだったのだと考えた。

その夜、マーニーが久しぶりに会いに来る。杏奈は、マーニーの過去の話を聞き、恵まれた環境を羨んだ。マーニーは杏奈の過去も知りたいと話し、杏奈は、自分は両親がいないこと、頼子たちが役所から自分がいることでお金をもらっていること、そしてそれを気にしてしまっている自分に嫌悪感を抱いていることを告白した。マーニーも自分の秘密を杏奈に話すこととなり、両親が留守の間、マーニーの世話をする、ばあやとねえやから、きつく当たられていて、ねえやたちにサイロに連れていかれ、怖い思いをしたことを語った。杏奈はマーニーの怖い思い出を克服すべく、サイロにもう一度行こうと提案する。サイロに向かう最中、杏奈はマーニーのことを励まし続けたが、マーニーの口から和彦という知らない名前が発され、マーニーは1人でサイロに進んでいってしまった。マーニーの言動に戸惑いながらも、杏奈もサイロに向かい、中でおびえるマーニーを見つける。目的を達した二人はサイロから帰ろうとするが天気が悪く、マーニーは雷に怯えて身動きが取れなくなってしまった。疲れ果てた二人はそのまま眠ってしまった。杏奈が目を覚ますとそこにはマーニーの姿はなかった。杏奈は自分のことを置き去りにしたマーニーに怒りと悲しみを感じながら、サイロを飛び出し走り続けたが、途中で転んで気を失ってしまう。マーニーの日記を読んで何かを察し、サイロに向かった彩香に、杏奈は発見されるが、雨の中、倒れていたため高熱を出していた。杏奈は熱に苦しみながら、夢でマーニーに再開するが、マーニーから一方的に別れを告げられる。そしてサイロに杏奈を置いていかなければならなかったことを謝り、杏奈に許してほしいと涙ながらに懇願した。マーニーが自分を故意に置いて行ってしまったのではないと察した杏奈はマーニーを許し、マーニーのことをずっと忘れないと約束する。すると、マーニーは微笑みながら屋敷の情景とともに白い光の中へ消えていった。

あらすじ④ マーニーの生涯、最後の秘密

杏奈の見舞いに来た彩香は、部屋で見つけたマーニーの日記の続きと、湿っ地屋敷の絵を見せる。湿っ地屋敷の裏側には以前会った久子の名前が書かれていた。杏奈は久子がマーニーについて知っていると考え、マーニーの友人である彼女からマーニーの一生を知ることになる。
マーニーは幼いころから、両親や家政婦に冷たく当たられていた。大人になり、札幌に移り住んだマーニーは幼馴染の和彦と結婚をし、幸せな日々を過ごしていたが、娘の絵美里が生まれてすぐに、和彦が病気で亡くなり、マーニー自身も体調を崩しサナトリウムに入ることになる。絵美里の世話ができなくなったマーニーは、娘を全寮制の小学校に入れたのだが、そのことが影響し、絵美里が小学校を卒業し、戻ってきた時にはマーニーは絵美里に恨まれていた。その後、絵美里は家出をし、子どもを産んだが、夫婦そろって交通事故に遭い、絵美里の娘はマーニーが引き取ることになる。マーニーは孫に愛情を注いで育てていたが、翌年、娘を失ったショックで病気を患い、亡くなった。
マーニーの生涯を語った久子は杏奈に「あなたもマーニーに会ったのね」と話した。

数日後、大岩家に杏奈を迎えに来た頼子は、杏奈の養育費が自治体から出ていることを明かし、隠していたことを詫びたうえで、金をもらっていようがいまいが杏奈のことを愛していると伝えた。杏奈は頼子の気持ちを受け止め、2人は和解した。そして頼子は、杏奈を引き取った際に幼い杏奈がずっと手に握りしめていたという一枚の古い写真を受け取る。写真には湿っ地屋敷が写っており、裏には「私の大好きな家 マーニー」と書いてあった。このことから、杏奈は、マーニーは自分の実の祖母であったことに気づき、涙を流した。その後、頼子とともに札幌の自宅へと帰るため、駅に向かう車中から、杏奈は湿っ地屋敷の窓から自分に向けて手を振るマーニーの姿が遠くに見えた気がした。

考察

キャッチコピーから探る作品の意味

私は、ジブリ作品を深く理解するために、作品のキャッチコピーを頭に入れながら鑑賞することをおススメしています。本作のキャッチコピーは「あなたのことが大すき。」です。ここからは本作のキャッチコピー「あなたのことが大すき。」にフォーカスして内容を考察していきます。

杏奈は作中序盤では、かなりの自己嫌悪に陥っています。冒頭で杏奈は自身の存在の捉え方について次のように語っています。

この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、この人たちは内側の人間。そして私は外側の人間。(中略)私は、私がキライ。(冒頭 杏奈の語りの台詞より)

自分は普通の人間の輪には入れておらず、外側から眺めることしかできない虚しさ、悔しさを感じ、同時にそんなことを気にしてしまう自分自身のことが嫌いという意味合いを持った台詞ですね。
また、作中で杏奈は、自分の養育費の補助が自治体から出ており、頼子がそれを受け取っていることを知り、ショックを受けており、これに関して気にしている自分にも嫌気を感じていました。
物語序盤は、こうした自己嫌悪にまみれた杏奈が、喘息の治療を目的に田舎に向かうという流れになります。

そんな杏奈が、田舎町の屋敷で出会った少女がマーニーです。
マーニーは、杏奈のことを理解し、受け入れ、この関係を大事にしたいと初対面の時から言い続けます。

あなたはあたしの大事な秘密よ。(中略)ねぇお願い。約束して。あたしたちのことは秘密よ。永久に!(マーニーの台詞より)

ここまで自己嫌悪に陥っていた杏奈は、マーニーとの交流を通じ、少しずつ自分自身を認め、受け入れられるようになりました。杏奈の再生に必要だったのは、マーニーのような無条件で自分のことを受け入れてくれ、まさに本作のキャッチコピーである「あなたのことが大すき。」と言ってくれる存在だったのです。

上記のようなことを踏まえると「思い出のマーニー」は、
自分は普通ではないと絶望した杏奈が、マーニーの記憶を追体験することで、普通の人に再生する物語と捉えることができるのではないでしょうか。

気づくと理解が深まる要素と演出

ジブリ作品は、ストーリーの深さだけでなく、細かい演出も魅力的です。特に本作では気づくと、より楽しめる演出がいくつかありますので、紹介します。

寝顔の表情

作中では、杏奈の寝顔が何度もクローズアップされます。寝顔は人間が一番気が抜けているタイミングであり、その時の素直な気持ちが顔に現れていると私は考えます。作中での杏奈の寝顔は豊富です。悩み詰めたような表情、安心しきった表情など様々です。 本作での杏奈の寝顔は杏奈の心情を推し量る演出として楽しめると思います。

杏奈の描く絵

杏奈の絵も、本作において重要な要素の一つです。作品序盤の杏奈の絵は鉛筆画ばかり描いていましたが、これは頼子が自治体から養育費をもらっているという事実を杏奈が知り、その頼子から色鉛筆をプレゼントされた為、色鉛筆に対して良い印象を持てなくなってしまったことが理由です。しかし、マーニーとの交流を通じ、人間として再生した杏奈は、色のついた絵を描くようになりました。描く絵のスタイルの変化で、登場人物の心情を表現するスタジオジブリ、流石ですね。

杏奈の浴衣

杏奈がマーニーと初めて会った時の服装にも私は注目すべきだと思っています。この時、杏奈は花柄の浴衣を着ていました。浴衣に描かれていた花は朝顔です。朝顔にはいくつか花言葉がありますが、「愛情の絆」という言葉があります。これは朝顔のツルがしっかり巻き付くことが由来しているそうですが、なんだか杏奈とマーニーの関係を表しているような気がしませんか?かなり細かい演出ですが、気づくとジブリ作品の凄さを実感できますよね。

まとめ

今回は、「思い出のマーニー」について詳しくご紹介しました。

心に傷を負った少女の再生の過程が様々な角度から表現された名作だと思います。

この記事を読んでいただき、「思い出のマーニー」の魅力を1人でも多くの方に知っていただけると幸いです。

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